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天野純希の「もののふの国」 [読書]

もののふの国 (単行本)

もののふの国 (単行本)

  • 作者: 天野 純希
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2019/05/08
  • メディア: 単行本
本書は「小説BOC」1-10号に連載された8作家による文芸競作企画「螺旋プロジェクト」の一つである。「海族」と「山族」の2つの種族の対立を描く、すべての作品に同じ「隠れキャラクター」を登場させる、任意で登場させられる共通アイテムが複数ある、の3つのルールのもと、吉田篤弘、朝井リョウ、伊坂幸太郎、乾ルカ、薬丸岳、澤田瞳子、大森兄弟の各氏が参加しているプロジェクトである。
天野先生の担当は中世から近代が担当?平将門、源頼朝、足利義満、明智光秀=天海僧正、豊臣秀吉、徳川家康、大塩平八郎、土方歳三、坂本竜馬、西郷隆盛らを主人公にした連作であり、すべてがつながっている?という設定となっている。
「もののふの国」のタイトルの通り、将門に始まる武士による世の中を作ってきた人々の栄枯の物語であり、西郷によって終息という壮大なストーリー。なぜ平家と源氏が戦ったのか?秀吉と家康の対立の背景にあったものは?

・・・螺旋プロジェクトのルールに照らし合わせれば納得!という展開にはなっているものの、肩ひじ張って考えずにSFチックに読めるという点で、かつての半村良先生の作品を彷彿とさせる内容になっている。

こうなったら「螺旋プロジェクト」の全作品を・・・と思いつつ、全部読むのは大変だ、こりゃ

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伊東潤の「敗者烈伝」 [読書]

敗者烈伝

敗者烈伝

  • 作者: 伊東 潤
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2016/05/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
日本の歴史、古代から幕末・明治まで、いわゆる敗者とされた人々の“烈伝”、評伝である。
蘇我入鹿から桐野利秋まで、それぞれの時代の勝者と対抗の立場にあった人=敗者の物語。少し間違えば勝者になったかもしれない人たち。歴史に「もしも」はないといわれるが、ちょっとしたきっかけや流れで勝者になれたかもしれない人々。
もっとも伊東先生に言わせれば、この敗者たちは負けるべくして負けた、敗者になったということらしい。実に厳しいご指摘、ごもっともと納得させられました・・・
歴史は勝者によってつくられる、ともいわれるが、これらの勝者によって今の日本が形づくられたともいえるわけで、負けるべくして負けた人たちが勝者になった場合、日本はどうなっていたのだろう?と思ったりもする。
敗者があってこその歴史。この視点、いろんな意味で大事にしたい。

タグ:歴史 敗者
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木下昌輝の「天下一の軽口男」


天下一の軽口男

天下一の軽口男

  • 作者: 木下 昌輝
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/04/07
  • メディア: 単行本

どんな話かわからず手に取った本。ペラペラめくった限りでは御伽衆の話?と思いつつ読み進めたら、なんと今につながる落語の起源のことが書いてあるではありませんか!安楽庵策伝、鹿野武左衛門、露の五郎兵衛、そして主人公の米沢彦八・・・いずれも実在の人物の経歴と芸の成り立ちが紹介されています(小説ですけど)。

以前、桂文珍師匠が枕で落語の起源を話したことがありますが、そこで出た小咄が本書にも収録されておりました。仕方噺という現代落語の原型についても書かれている(江戸時代に完成したのでしょうか?)。

落語好きの私としては勉強になった次第です、んっん!。


タグ:落語
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