五十嵐貴久の「波濤の城」 [読書]
「炎の塔 (祥伝社文庫)」に続くパニックシリーズの第二弾。今度は船です。超豪華クルーズ船の「レインボー号」が漂流物と接触、排水装置の不具合から浸水が始まったのに加え、超大型台風との遭遇により沈没の危機に!というお話です。
登場人物、主人公は「炎の塔」で活躍した女性消防士。休暇を利用して乗船したクルーズ船が予期せぬ沈没の危機に直面するという展開は、かつて不幸を呼ぶ男として全世界に勇名をはせた「 ダイ・ハード ブルーレイコレクション(5枚組) [Blu-ray]」のジョン・マクレーン(ブルース・ウィルス)さながらです。
本書は遭難、沈没に向けた条件設定が全てそろっています。プライドが高く、自己保身に終始する船長とその腹心の部下たち。利権(カジノ法案推進、IR推進派の国会議員)を嵩に着てわがままな態度をとる有力者。組織の意向を盾に上司のいうことを聞かない管理職・・・五十嵐先生はここ数十年に実際に起こった海難事故のトピック
を参考にしたそうですが、まさに大パニック!乗船していたらこれは助からん!という気持ちになりました。
事故に導く要因を作ったのは、登場人物それぞれが持つ職業や使命の矜持を忘れた人たち。それを回避、阻止し、人命救助に命をかけた登場人物たちはそれぞれの立場に矜持を持った人たち。
昨今の世の中、矜持を忘れた人があまりにも多すぎるような気がします(気のせい?)。
それにしても五十嵐先生のパニックシリーズ、まだ続くようです。日本版ジョン・マクレーン(五十嵐版では女性ですが)誕生の間近です!
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