佐藤雅美の「美女二万両強奪のからくり ~縮尻鏡三郎」 [読書]
- 作者: 佐藤 雅美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/03/09
- メディア: 単行本
縮尻鏡三郎シリーズの最新単行本です。大番屋の元締縮尻先生の出番は今回はほとんどなし。仕事が終わって一杯やりにいく馴染みの居酒屋くじら屋のシーンがほとんど。今回は北町奉行所臨時回りの同心梶川がほぼ全編に渡っての活躍。長い間続くシリーズにあって、主人公以外の魅力的な脇役がスピンアウトする作品が昨今、多いような気がしますが、シリーズ内スピンアウトともいえる本作は、物語の背後に鏡三郎がいるという安心感からか、梶川のような者が主役をはっても安定感があります。
江戸時代後期の江戸は我々が思う以上に人にやさしかった?と思えるような驚きの制度や仕組みの中で行われる犯罪とそれを追う同心・・・淡々とした文章の中、意外にドキドキさせられる展開は佐藤作品の魅力でもあります。紋蔵シリーズ同様、まだまだ続いて欲しいシリーズの一つです。
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