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司馬遼太郎の「豊臣家の人々」 [読書]


豊臣家の人々 (角川文庫)

豊臣家の人々 (角川文庫)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2008/02/23
  • メディア: 文庫
 
 
 
 
 
豊臣秀次、小早川秀秋、宇喜多秀家、結城秀康、八条院、豊臣秀長、駿河御前(朝日姫)、北ノ政所、淀君と豊臣秀頼・・・豊臣秀吉が天下統一を成し遂げ、その後の政権運営、継続を図っていく上で最大の悩みだったのが後継者問題です。秀吉には子が無い。せっかく成し遂げた天下人の地位を自分の血縁の者に譲りたいというのは人情で、400年以上たった現在でもそれは同じ感情でしょう。昨今の大企業による創業家と株主、ステークホルダーとの争いも、必ずしも血族、血縁に限ったことではないにしても同じ感情からくるものではないかと思います。
さて、冒頭で挙げた人々は、いずれも秀吉の養子または猶子、妻とその愛人です。秀吉政権延命のために家族を作る必要性があった秀吉が、親戚縁者、征服者、権力をかさにきた力の行使によって、ポスト秀吉を担う人材として集めた人々です。本書はこうした運命を自らの意思にかかわらず押し付けられた人々の半生を描いたものです。彼ら、彼女たちの運命は、決して安からず、むしろ悲劇ともいえる結末となっているところはご存知の通り。秀吉の縁者でなければ百姓として人生を終えたものがほとんどです。抗えない運命を背負わされ、いかばかりかと思ってしまうその人生。秀吉自身の辞世の句、「露とおち 露に消えし わが身かな 難波のことも 夢のまた夢」そのものであったのではないでしょうか?
歴史に名が残った人々ではありますが、なんともむなしさを感じた読後でありました。 


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しゅわっち

ご訪問とコメントをありがとうございました。
果たして権力というものはいつの世においても
必要なきものなのでしょうか。
権力のない私には不要のものとしか思えませんが。
ただ、時の方々は世を良くしようとして
立ち上がったのでしょうね、本当は。
by しゅわっち (2016-07-01 23:03) 

Ganchan

> しょわっちさん
権力を持ち、それを意識したときが最初の志を忘れるということではないでしょうか?
争いの種であることは間違いないですね。
by Ganchan (2016-07-11 16:20) 

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