高殿円の「剣と紅」 [読書]
先週に引き続き、女流作家の歴史物のご紹介です。徳川幕府譜代筆頭の井伊家の物語。井伊家が上代の頃からの名門であり、戦国期にあっては遠州を地盤とした古豪であり、今川家の支配下にあったこと。そして、一度は断絶の憂き目にあった?なんてことが本書を読んでわかりました。
明治期に至るまで存続した大名というのは、それぞれ生き残るだけの理由があったと思うわけで、特に戦国期において勝ち残った大名は歴史の必然すら感じるrところがあります。
井伊家の場合、小法師といわれた香姫という未来を予知することができるという不思議な力をもった姫が断絶の危機を乗り越えたという伝説?があり、本書はその香姫を主人公にしたお話。読み始めはこの姫の不思議な力が物語の主題としたエンタテイメント(表紙のイラストもそんな感じでしょう?)かと思いましたが、物語は淡々と歴史的経緯のまま進み、いよいよ井伊家が無くなるといった段階で、「私が頑張る!!」といった展開。少々肩すかしではありましたが、こうした歴史があったんだな、という井伊家の歴史を垣間見ることができてなかなか面白かったです。
しかし、高殿さん、歴史物もなかなか行けますね。正直、トッカンの方が面白かったけれど、歴史物の新作に期待を抱かせるだけの作品ではありました。次回作、期待です。
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