天野純希の「破天の剣」 [読書]
歴女、天野さんの島津四兄弟、特にその末弟の家久の生涯を描いた作品です。時は織豊時代。島津家が九州を席巻し、秀吉の天下軍と干戈を交える直前までのお話。結局、島津家は大規模な戦闘を行う前に天下軍に降伏してしまうのですが、九州統一まであと一歩と迫った島津家の強さの裏に四兄弟の力があったことが良く分かる本です。
島津といえば鎌倉以来、幕末に至るまでずーっと同じ薩摩を所領していた名門。幕末では明治維新を推進したことであまりにも存在感ありありの家ですが、そのポジションを獲得するに至るまでの戦国末期の奮闘というか、活躍が描かれています。
戦国期にあっては珍しく兄弟仲が良かったことが、強い島津家をつくったといえましょう。
さて、本書では末弟の家久にスポットを当てています。幼少から突然の死(毒殺?)にいたるまでの生涯は、歴史を名を残した英傑、英雄を彷彿とさせるもの。出生の秘密と兄たちに認められようと最後の最後まであがいた彼の人生はまさにドラマといえましょうが、もう少し、彼自身を中心としたストーリー展開であったなら、もっと楽しめた、というところでしょうか。
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