池井戸潤の「金融探偵」 [読書]
「空飛ぶタイヤ」や「下町ロケット」などで金融企業小説のジャンルを確立した池井戸さん。直木賞受賞前の連作集。元銀行員という経歴から創作される物語は、多少なりとも会社経営の経験のある人間にとっては、妙にリアルで身につまされるエピソードが多く、正直、会社経営がうまくいっていない時期には絶対読みたくない類のものではあります。
本書は銀行がつぶれ、失業してしまった元銀行員が、就職が決まるまでの間に探偵らしきことをするお話ですが、軽~く読める話が多いものの、自分がうまくいっていなかったことをつい思い出してしまうという情けなさを感じながら読んだわけで。人間、お金にまつわるとドラマが生まれます。「トッカン―特別国税徴収官―」(高殿円作)もそうですが、こジャンル、当事者、心当たりのある人でなければドラマとしては本当に面白いと思っています。なんか嫌ですけど。
2012-11-19 12:35
nice!(8)
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