北沢秋の「奔る合戦屋」

奔る合戦屋

• 作者: 北沢 秋
• 出版社/メーカー: 双葉社
• 発売日: 2011/06/29
• メディア: 単行本（ソフトカバー）

「哄う合戦屋 (双葉文庫)」の続編ではなくて「前編」に当たる作品である。若き日の石堂一徹の物語。戦国時代の武将にはめずらしく、清廉潔白にしてその名の通り一途一徹の好青年。理解のある父や兄、良き嫁に恵まれ、一騎当千の郎党たちもいる。北信濃の猛将、村上義清に家老格として仕え、村上家の勢力拡大のために一身をささげたにもかかわらず、なぜ、村上家を離れ、浪々の身になったのか。「哄う合戦屋」に続くエピソードが明らかになる。つまるところテーマは上司と部下の話。まあ、村上義清が戦国の世で生き残れなかった原因の一つに一徹の出奔があった、と思わせるだけの物語としての説得性はあったわけです（フィクションだとは思いますが）。仮に一徹のいる村上家が信濃で存続したら、武田、上杉の川中島の合戦もなかったかもしれない・・・なんて想像すると面白い。お勧めの一冊です。もう一度「哄う合戦屋」、読みたくなりました。 

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