桜庭一樹の「伏 贋作・里見八犬伝」

伏 贋作・里見八犬伝

• 作者: 桜庭 一樹
• 出版社/メーカー: 文藝春秋
• 発売日: 2010/11/26
• メディア: 単行本

 

 

 

 

 

私たちの世代？にとってというか、私にとっては、八犬伝はイコール、NHKの人形劇「新・八犬伝」のことであり、「いざとなったら玉を出せ！」、「我こそは玉梓が怨霊」などの主題歌の一節や決まり科白がほぼ条件反射のごとく浮かんできます。

曲亭馬琴先生原作の「南総里見八犬伝」も読んだことがあり、真田広之主演の映画もみたことがありますが、作品として印象、記憶に残っているのは「新・八犬伝」でした。坂本九さんの巧妙・洒脱な語り、人形のキャラクターなど、今にして思えば記憶に残っている理由をそれなりに説明できるような気がしますが、当時は単純に面白かった。物語の長さに加え、多彩な登場人物など、あの「水滸伝」に匹敵する大河作品といえましょう。

本書はそんな「八犬伝」 をモチーフにした作品。「贋作」とありますが、これは本書の中で馬琴の弟が贋作を書いているという意味で、本書自体は「真説」ともいうべきお話。

正直、「八犬伝」に反応し、かなりの期待を持って読み始めたのですが、裏切られたというか、ちょっと求めていたものが違ったようで、私自身は残念な感想を抱いたのですが、久しぶりに八犬伝の世界観に触れることができて懐かしさを覚えました。

そういえばこの本を電車で読んでいたら、向かいの席にすわっていたお姉さん（おばさん？）が「南総里見八犬伝」（どの出版社の何訳なのかは不明）を持っているのを見かけました。偶然ですが・・・同世代なんでしょうね。おばさんなんでしょうね。 

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