桜庭一樹の「赤朽葉家の伝説」 [読書]
面白かったです。
戦後から現在に至るまでの昭和史と平成の時代を生きた赤朽葉万葉、その娘の毛毬、そして毛鞠の娘の瞳子の3世代の物語です。万葉からみれば孫に当たる瞳子が赤朽葉家の歴史をなぞるという設定で書かれているのですが、万葉の娘の毛鞠は私より少し若い設定?読んでいて懐かしい気分になりました。
高度経済成長に入る1970年以前まで神話的雰囲気、何かしらの恐れみたいなものがあったというくだりは、私もなんとなく感じていたこと(もちろん子供としてですが・・・)。そんな雰囲気がいつしかなくなり薄っぺらいような現実感の中で生きるようになってきた自分史(毛鞠の時代)を読んでいるような気がしました。
万葉が死に際に孫の瞳子に「私、人を殺したんよ」と伝えたことで始まった赤朽家の伝説。万葉はいったい誰を殺したのか?そこが日本推理作家協会賞受賞の拠り所になっているのでは思いますが、日本の戦後を生き抜いた田舎の旧家の人々、大勢の庶民の歴史という観点からみても十分に面白い本だと思います(大げさ)。
映像化したら面白いだろうな。特に毛毬のキャスティングに興味があります。
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