東野圭吾の「パラドックス13」:首都圏震災の恐怖 [読書]
ブログのタイトルに「首都圏震災の恐怖」と書きましたが、本書の主題はパラレルワールド、パラドックスワールドです。近未来小説といってもいいかも。理由も原因も特に説明されていませんが、宇宙空間に13秒の時空のズレを生じさせ、宇宙(地球)をリセット(本当はよくわかっていない)するという宇宙の意思によって創出されたもう一つの世界の話です。
本書が刊行されたのは2009年4月ですから、東日本大震災は意識されていないにしても阪神大震災やいつか起こるであろう関東大震災が今の東京で起こった場合、こんな風になるんだろうな、と思わせるのに十分な描写が続きます。地震による道路の崩壊、地盤沈下(地下化による人災?)、そして小説では大雨が降り水がはけないことでおこる津波・・・東日本大震災前であれば東野さんの想像に基づくフィクションとして読めたでしょうが、震災後に読むとノン・フィクションとして読めるような気がします。都市型震災の恐ろしさを意識させられました。
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