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高橋克彦の「風の陣」(裂心篇) [読書]

風の陣[裂心篇]

風の陣[裂心篇]

  • 作者: 高橋 克彦
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2010/09/08
  • メディア: 単行本
ちょうど今の中東諸国の混乱に似ているのでしょうか?長く抑圧された人々がこらえきれず暴発する。1200年以上前の現在の宮城県北部の蝦夷の反乱はそんな背景で起こったといえます。考えるにわれわれが認識している歴史は朝廷と幕府のもの。卑しい獣、と断じた当時の天皇および朝廷にとって、蝦夷の国は日本ではないのであって、まさに国と国との戦争だったのでしょう。「風の陣」シリーズでは、時の流れにしたがって主人公が代わっていきますが、本書は蝦夷出身ながら朝廷側の多賀城の官人であった伊治鮮麻呂(または呰麻呂)がついに兵を挙げるまでを描いていますが、この反乱が坂上田村麻呂の大遠征の遠因となります。伊治鮮麻呂はあまり有名ではありませんが、陸奥の蝦夷の歴史の中ではとうとう立ち上がった英雄的存在として見直されるべきかもしれません。
この続きは、岩手県奥州市辺りでは最大の英雄として今も人気のあるアテルイが登場する「火怨」に引き継がれます。坂上田村麻呂との攻防の章。
高橋さんの一連の「蝦夷シリーズ」、東北出身者にはアイデンティティをくすぐられる作品。東北出身者でなくても十分に楽しめるエンタテイメント作品だと思います。

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