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鳴海章の「マルスブルー」 [読書]

マルス・ブルー (100周年書き下ろし)

マルス・ブルー (100周年書き下ろし)

  • 作者: 鳴海 章
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/06/25
  • メディア: 単行本

鳴海さん12年ぶりの戦闘機ものです。

能登半島の海岸に小船に乗った遺体が流れ着いた。北朝鮮軍の軍服を着たその遺体は、脱北者かと思われたが、なぜか日本の航空自衛隊の官給品であるフライトブーツを履いていた。フライトブーツには「KGR」の文字が・・・コールサインKGR、カゲロウは、航空自衛隊の伝説のパイロットといわれ、7年前にスクランブル発進で離陸して以来、行方不明、そのまま殉職扱いとなっていた・・・

尖閣や北方領土問題でゆれる日本。現実の事件では海上保安庁が主役となっていますが、「国防」という面では自衛隊が主体を担うことになります。本書での展開は、日本を取り巻くパワーバランスの中で、こんなことが起きたらどうなる?という前提で書かれており、昨今の世界情勢を絡めているせいか、なかなかに説得力のある展開となっています。まあ、仮説の一つとして、自衛隊の人間がこんなことしちゃったらどうなる?という話なのですが、シミュレーションとしてはありうる話かもしれません。もっとも現実に起こったとしたら今の日本は崩壊してしまう。
深読みすれば、日本とは何か?国家とは何か?平和憲法、第九条とは何か?自衛隊の存在って?・・・右や左、さまざまな観点からの解釈は成り立つ物語ではあります。ちなみに「マルス・ブルー」とは「軍神の憂鬱」という意味だそうです。

乱歩賞受賞作家だけに、警視庁公安の女刑事と航空自衛隊小松基地の法務官のコンビが事件を追うというのがベースになっていますが、もう一人の主人公であるカゲロウの活躍?の方が、小説としては面白かったような気がします。ロシアの最大のキーマンとしてプーチン(プーチンとは書いてませんが)も登場。展開としては自然なので、違和感はありませんでしたが・・・ちょっと消化不良?


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