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坂東眞砂子の「ブギウギ」 [読書]

敗戦直前の日本にはドイツ人がたくさんいたようです。1945年5月以降はドイツが連合国に降伏したため、捕虜扱いになったようですが、元同盟国ということもあって、厳しい監視下に置かれるということはなかったようです・・・・本書を読んで、まずこの事実に驚きました。本書の舞台は箱根。日本とドイツは第2次大戦中、主に潜水艦(日本はイ号潜水艦、ドイツはUボート)で行き来していたようです。双方ともなかなか無事にたどり着ける確率は低かったようですが、日本近海で連合国の攻撃を受けて沈没したUボートや座礁したドイツ艦船から救助されたドイツ軍将兵が結構いたようです。そうしたドイツ人が収容されていたのが箱根の旅館。日本人が戦争で温泉どころでなくなった箱根の旅館は、そういう意味では収容先としてはロケーションや設備の面でちょうどよかったのでしょう。

そんな箱根の旅館に収容されていたUボートの艦長が精進池の近くで死体となって発見されます。他殺か自殺か?物語はそんなサスペンスタッチで始まりますが、一方で第一発見者の旅館の女中リツが戦後の混乱の中でたくましく生きようとする物語でもあり、リツが勤める旅館の女将の戦前史でもあります。在日ドイツ人社会という今の日本人には知られざる歴史的事実、暗躍するスパイとGHQの軍事機密をめぐる攻防、敗戦直前直後の混乱の日本を舞台に繰り広げられる骨太のエンタテイメント作品となっています。緊迫の連続、一気に読むことをお勧めします。

ブギウギ

ブギウギ

  • 作者: 坂東 眞砂子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/03/27
  • メディア: 単行本


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