読書の秋:3連発 [読書]
〇 湊かなえの「告白」
少年犯罪をどのように裁くのか?その答えはいまだに出ていません。いや、もしかしたらこの先も答えは出ないのではないか。少年犯罪に限らず人が人を裁くということの是非?根本的な問題にかかわるからです。裁判員制度が導入されて、法律という一定のルールの中で、遺族の心情や被告人の情状、言い分を聞いて答えを出さなければいけない。大変な時代になりました。
本書は遺族が社会のルール、法律に頼らず犯人を追い詰める復讐劇です。法律も裁判もない、自らが犯人を裁くという心情的には理解しやすい展開。中学校を舞台に、遺族は中学教師、犯人は教え子である少年。遺族である母親は警察や司法に事件をゆだねるという方法をとりませんでした。少年法に”守られた”犯人を裁くことはできない状況の中で教師である母親が教え子に仕掛けた裁きの罠は・・・この裁き、極刑である死刑よりもつらいかもしれません。
〇 柳広司の「ジョーカー・ゲーム」
日中戦争開戦前夜、日本陸軍のスパイ養成組織「D機関」が舞台。いわゆるスパイものですが、連作集としては小気味のよい読みやすい活劇ものです。上記「告白」の後に読んだだけにあっさりした読後感。シリーズものとしては面白いかもしれませんが・・・
〇 荻原浩の「四度目の氷河期」
青春小説といったらいいのでしょうか?久々にこういうテイストの本を読みました。主人公と同じ年頃の自分を振り返ってみれば、こんなに素直でなかったなと思いつつ、こんなに自然で素直な青春時代を送っていれば今の人生、少しは変わっていたかな?と思った次第です。もう取り戻せませんが・・・
- 作者: 湊 かなえ
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/08/05
- メディア: 単行本
「4度目の~」は読みました!
「告白」は今すごくよみたいです。
映画化されるようです。
by 税理士ももさん (2009-11-03 15:37)