伊東潤の「野望の憑依者」 [読書]
この本を読みながらかつての大河ドラマ「太平記」を思い出しました。足利尊氏を真田広之さん、弟の直義を高嶋政伸さん、高師直を柄本明さんが演じております。
どうも師直というといまだに柄本さんの顔が浮かびます・・・伊東先生のイメージは別なのでしょうが、師直の野望をはたさんとする雰囲気は柄本さんのイメージに合っているような気がします。
尊氏のぼんぼんさ加減とお兄ちゃん大好きの直義の兄弟を時代の変革者に祭り上げたのは間違いなく高師直。世間的には”悪人”ですが、歴史の善悪は見る者の評価によって変わるもの。もう少し時代が下って戦国時代に生まれていれば相当の勢力を得たかもしれません。
楠木正成とのやりとりはなかなか良かった。なぜ戦うのか?正成の存在とパフォーマンスに同類のにおいを感じつつ、その違いに葛藤する師直。シーンとしてはわずかながら本書のテーマでもあったような気がします。
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