岩井三四二の「正宗の遺言」 [読書]
「正宗」とは、ご存知、伊達正宗のこと。戦国稀代の英雄であり、遅く生まれてきたからこそ三代将軍家光の頃まで生き延びた“戦国の生き残り”でもある。
正宗については従来の諸本では関ヶ原までが活躍の舞台として認知されてきたが、本書においては臨終までの数か月を小姓の視点から描き、過去を振り返るという体裁をとっているところが正宗の一代記を描く上で新しい切り口といえよう。
徳川幕府の天下を脅かす最後の巨魁として幕閣から目をつけられながらも、徳川家光には絶大なる信頼を得ていた正宗。伊達家取りつぶしを目論む幕閣とのやり取りを中心に、伊達家の成り立ちを振り返りながら最後まで戦いぬこうとする正宗の悲愴感と幕府創成期における緊張感がよく描かれている。
なるほど、そういうことか!?というラストはびっくりするほどではないにせよさわやかな感じもする。視聴率はとれないかもしれないがなかなか重みのある緊迫感のあるドラマの原作になりそうな作品。
蛇足ながら本書を読んでいて大河ドラマ「 渡辺謙主演 大河ドラマ 独眼竜政宗 完全版 第弐集 DVD-BOX 全6枚【NHKスクエア限定商品】」を再見したくなった次第。面白い。
2018-10-29 11:49
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