阿部和重・伊坂幸太郎の「キャプテンサンダーボルト」 [読書]
二人の作家の合作である。私は純文学系といわれる作品は手にすらとらない、という偏向読者であるがゆえに、芥川賞作家であらせられる阿部和重さんの作品は一切読んだことがないのだけれど、この作品、伊坂ワールド全開の作品だったという印象を受けました。特に中盤から後半、クライマックスに至る手に汗握る展開は伊坂作品の王道、伊坂さんそのものではないか!なんて思ったわけで。もっとも、阿部さんの作品を読んだことがある人が読めば、その作風が感じられる部分は多々あったのではないかとも思いますが、偏向読書ファンが読み取る術はないわけで・・・・
そういう意味で本作は合作という手間をかけたことによる不具合等は感じられず、一人の作家の手になるものとして完成度は高かったのではないかと思っています。
難点をいえば、幼馴染である二人の主人公以外のキャラクターのエッジがやや弱く、伏線であるエピソード、たとえば太平洋戦争末期、昭和20年3月10日の東京大空襲と同じ日に3機のB29が・・・や、東北の闇の帝王・・・、銀髪の怪人メカゴジラ2.0の組織とその背景・・・等々の話はいずれも中途半端な気がして読者の想像に委ねるところがあったのではないか?なんて生意気に思ってます。
翻訳アプリを使ってコミュニケーションをとる銀髪の怪人メカゴジラ2.0、カーリー(カーリーコーテッド・レトリバー)犬のポンセなど魅力ある登場人物もおり、本当は次回作を!という感じもするのですが、この作品の成り立ちを考えるとそれは難しいのでしょうね。 残念です。
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おまけ)カーリー犬のポンセ?ではなく、柴犬のテツ、暑さにバテ気味の図、でした。
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