佐藤雅美の「関所破り定次郎目籠のお練り 八州廻り桑山十兵衛」 [読書]
最近時代小説が続いています。どうも頭がちょんまげ状態になっており、これらの小説の世界に入ると実に心地よい気分になります。現実逃避の兆候です。現代小説を読むとストレスが余計増す・・・・
さて、佐藤雅美先生の江戸モノは物書同心居眠り紋蔵 (講談社文庫)など他の作品も含め、綿密な時代考証の上に書かれているという意味で、昨今の時代小説ブームで作品を乱発(失礼!)している作家先生とは一線を画す、といわれています。もっとも綿密な時代考証・・・という部分は文庫の解説の先生から受け売りですが、そうした意識で読んでいるせいもあってか地味な話が多いにもかかわらずどんどん引き込まれていく感があります。
桑山十兵衛シリーズは八州様を主人公にしているせいもあり、関東のお百姓がたくさんでてきます。当時のお百姓の日常の中で起こる事件や訴訟にまつわる顛末が描かれていますが、そこで描かれた人々の価値観や意識は決して現代のわれわれとそう違わないことがわかり、なかなか面白いわけです。モチーフとなった話があるんでしょう(そう思って読んでますが)。そういう意味で人間の欲というのはそう変わるものではないと思い納得するといった具合です。
主人公十兵衛の割り切りと行動力は小気味いい。好きなシリーズ作品です。
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