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堂場瞬一の「ヒート」 [読書]

ヒート (実業之日本社文庫)

ヒート (実業之日本社文庫)

  • 作者: 堂場 瞬一
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2014/06/05
  • メディア: 文庫
箱根駅伝の学連選抜チームの奮闘を描いた「チーム (実業之日本社文庫)」の続編です。
天才ランナー山城のその後と、その山城を囲む様々な人たちの「東海道マラソン」にかける物語です。
最近の日本男子マラソンは、アフリカ勢を中心とした高速マラソンに全く歯が立たない状態です。こうした状況を憂いた神奈川県知事が世界最高記録を狙えるマラソン大会、東海道マラソンを新たに開催し、日本のトップランナー山城を出場させ、日本人による世界最高記録を狙わせる、という構想を打ち立てました。
世界最高記録を狙うにはランナーの素質や才能の他に、コース設定等、レースを取り巻く環境を整備する必要があります。そのための準備として、箱根駅伝で走ったことがある県職員を大会の担当責任者に抜擢し、様々な準備を進めていきます。
環境整備の一環として必要不可欠とされたのが、レースを構成、コントロールするペースメーカーの存在。30km地点までレースを引っ張り、世界記録を狙える状態に選手たちを持っていくだけの力量が問われます。とはいえ、現役でトップを狙えるような選手をペースメーカーにするわけにはいかない。誰がその任に当たれるのか?
そして世界記録を狙える選手の招へい。日本マラソン界期待の星にして、世界記録に最も近い男、山城に白羽の矢が立ちますが、山城は出場を拒みます。天才にして、傍若無人、自己中心的な山城にとって、日本のためとか、知事のため(知事も昔、箱根を走ったというキャリアを持つ)といった周りの思惑は一切関係ない。マラソンを走るのは自分のためと割り切る彼にとって、世界最高記録は記録の出やすいベルリンマラソンという目標を掲げていました。
物語は東海道マラソンの運営担当者に任命された県職員音無の大会開催までのプロセスと、ペースメーカーに指名された甲本の葛藤、そして山城のレース出場までのドラマを軸に描かれています。
クライマックスはマラソンのレースそのものにある作品ですが、マラソンとは何?走ることって何?といった根源的なテーマを主題にしているところは、堂場作品に共通しているような気がします。
堂場作品の「独走」も同様の主題、流れになっています。
もっとも素直に楽しめる作品に仕上がっています。「チーム」と「ヒート」、連続して読破することをお勧めします。 




 
 

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読書ログ

はじめまして。
私は「読書ログ」という読んだ本の管理やレビューを書くサイトの運営をしています。

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読書が好きな人同士、本の話題で盛り上がっています。
もしよろしければ遊びにきて頂ければと思います。

よろしくお願い致します。
by 読書ログ (2014-07-18 12:52) 

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