佐藤雅美の「へこたれない人 物書同心居眠紋蔵」 [読書]
このシリーズの面白さは日常の出来事を淡々に描いていることにあると思います。八っつあん熊さんの長屋ネタはいうまでもなく、ちょっとした行き違いから起こる些細なトラブルは今にも通じるもの。奉行所の役人である紋蔵さんが自ら動いて解決するものもありますが、いつの間にか解決していることもある。できるだけ面倒には巻き込まれない、かかわりたくないという姿勢、他人事といった雰囲気も重くなくて良い。このシリーズは落語のよう、と前にも書いたことがありますが、そうしたある種の心地よさが良いのです。縮尻鏡三郎シリーズ同様、最近の私の精神状態には一服の清涼剤となっています。
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