重松清の「あすなろ三三七拍子」 [読書]
面白かったです。存続の危機にある大学の応援団に、立て直しのために45歳のサラリーマンが出向という形で大学に入り直し、団長として活動を存続させるというお話。出向を命じたOBは舞台となった大学の、かつ応援団出身なので、荒唐無稽な業務命令とはいえ理解できるものの、出向を命じられた社員はその大学のOBでもなければ、応援団の経験もないという設定。いわば主人公のサラリーマンにとって、応援団再建というモチベーションは持ちにくいのは当然のことながら、サラリーマンの悲しい性ともいうべきか、業務命令に従ってしまうという前提が小説ならではであります。
人を応援するということはどういうことなのか?という深いテーマを根底に抱えつつ、45歳の団長と20前後の団員学生、応援団OB、ライバル校の応援団が織りなすドタバタともいえるストーリーは、素直に楽しめます。まさに涙あり笑いありの感動巨編といえる作品です。お勧めの一冊です。
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