岩井三四二の「覇天の歌」 [読書]
戦国末期から織豊政権の時代に活躍した連歌師、里村紹巴(さとむらじょうは)の一代記です。本能寺の変の直前に、明智光秀が行った連歌の一座、「愛宕百韻」で宗匠として参加した連歌師、といえばわかる人も多いかも。私自身、この人のことは岩井さんの一連の作品のひとつとして読もうと思ったので、本書を読むまで全く知らない人でしたが、この人がいわゆる連歌という芸を世に広めた功労者として後世では評価されているということで、またひとつ勉強になった次第です。
正直、連歌という芸が彼の身を助けたということはよくわかりましたが、歴史の中では脇役。同じ時代に生きた千利休ほどのインパクトを持たなかったせいもあって、一代記とはいいながら淡々としたストーリーでやや物足りなさを感じました。
クライマックスといえば、明智光秀の決意表明ともいえる(?)歌を詠んだその場にいたこと。「ときは今 天(あめ)が下しる五月哉(かな)」という有名な歌です。後に秀吉に、お前は光秀のほう起を事前に知っていたのではないか?と譴責されますが、本書の紹巴は全くの別の解釈をしていた・・・まあ、あとは読んでのお楽しみというところです。
コメント 0