雫井脩介の「犯罪小説家」 [読書]
今日の東京地方は気温が20℃を超えそうです。街に出ると心なしか春のにおいがします。
さて、雫井脩介の新作を読みました。
日本クライム文芸賞(江戸川乱歩賞みたいなもんでしょう)を受賞した小説家、待居涼司。受賞作は「凍て鶴」という作品。早速、映画化の話が持ち込まれます。脚本、監督、そして主演として、新進気鋭の脚本家小野川充(イメージとしては宮藤官九郎みたいなもんでしょうか?)が当たることになります。
小野川の「凍て鶴」に対する解釈は待居を戸惑わせるものでしたが、当初は、小説は小説、映画は映画と割り切って聞き流していたものの、映画化のための打ち合わせを重ねる度に小野川の作品に対する解釈はエスカレートしていきます。待居は、小野川の強引である種思い込みともいえる解釈についていけなくなりますが、小野川は意に介さず、自分の小説に対する解釈を過去のある自殺事件と結びつけてイメージしようとしていきます。待居はそんな小野川を避けるようになりますが・・・
雫井さんの小説としては意外に素直な展開で、もう少し仕掛けがあるのかな?と思いながら読んでいましたが、あっという間にエンディング、といった感じ。中盤から後半にかけてフリーライターの今泉という女性が物語の進行を司る役割を演じますが、やや悲しい結末に。待居と小野川、キャラとしては正反対の二人がもう少し存在感があればもっと面白かったのに・・・と思いました。5点満点で3.75というところでしょうか。
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