佐藤賢一の「アメリカ第二次南北戦争」 [読書]
アメリカに民主党政権が誕生します。史上初の女性大統領、黒人の副大統領による政権です。その女性大統領が、ケネディ大統領が暗殺されたダラス、それも全く同じ場所で凶弾に倒れます。副大統領が大統領にすぐさま昇格、銃規制強化の方針を打ち出し、強行します。これに反発した勢力が政府に抵抗、やがて国を二分する内戦に発展します。旧政府側が従来の合衆国、抵抗勢力が「連合国」として諸州が分裂、かつての南北戦争で南軍を構成した諸州と連合国がかぶっていることから、いつしか、このアメリカの内戦は第二次南北戦争と呼ばれるようになりました・・・以上がこの小説を構成する大まかな背景です。
今から10年後くらいのお話。原作では史上初の女性大統領、黒人の副大統領の誕生となっていますが、クリントンが選挙に勝利していれば、この本と全く同じ展開になっていました。オバマが副大統領になったかどうかは疑問ですが、原作が書かれたのは2004年(単行本は2006年)、現実は小説よりも若干早かったようです。
内閣府からアメリカの内戦をリポートするように命じられた森山という日本人が主人公。ちょっとHな描写が満載で、内容はいたって軽いのですが、アメリカという国が抱える矛盾やアメリカという国の本質等が軽妙なストーリー展開の中に散りばめられています。内戦の背景に日本政府とフランスの影が・・・近未来の小説とはいえ、それまでの歴史はノンフィクション。小説の後半で、フランス人が「アメリカ人はこの世界から消えてもかまわない」という台詞、結構、象徴的だと思います。
あらすじを読んで
久々に読んでみたくなる本です!
by ハイマン (2008-12-18 22:39)