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池波正太郎の「忍びの女」 [読書]

新装版 忍びの女(上)

新装版 忍びの女(上)

  • 作者: 池波 正太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/01/12
  • メディア: 文庫

新装版 忍びの女(下)

新装版 忍びの女(下)

  • 作者: 池波 正太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/01/12
  • メディア: 文庫

1600年関ヶ原の合戦、1614-15年大坂冬の陣、夏の陣・・・私たちが知っている歴史は、その事実の結果でしかありません。当時の文献や日記などからその結果に至るまでの経緯が明らかにされている例もありますが、現代の私たちからみれば、その歴史の事実と事実の間、経緯は想像するしかありません。昨今では新たな文献が発見されたり、解釈によって、今まで教科書で習ったことが、全く違っていた、なんてこともあるようですが、いずれにせよ、その歴史的間隙を埋めてさまざまな視点から歴史をみることを許されるのが小説の世界です。司馬遼太郎の「司馬史観」などはその最たるもので、文献などの資料を独自の解釈で、かつ説得力のある背景のもとで描かれる歴史ドラマは十分に楽しませてくれます。

池波正太郎の『忍びの女』は、そういう意味で、歴史をエンターテインメントとして楽しむことができる小説です。甲賀のくの一、伴忍の小たまが、徳川側方のスパイとして、「賤ヶ岳七本槍」の一人、福島正則に接近、小たまと正則の関わりを軸に、関ヶ原の合戦から大坂の陣までの経緯を描いたものです。歴史のターニングポイントとともいえる関ヶ原前後の緊張した状況の中で、忍者が跳梁跋扈し、少なからず、表の歴史に影響を与えたかもしれない、と想像しながら読む楽しさは格別です。
ところで女忍者といえば、やはり池波正太郎の『真田太平記』に登場するお江でしょう。同じ池波作品のキャラクターとして、お江の方が忍者としては数段上をいっているとは思いますが、『忍びの女』を読みながら、お江と小たまの直接対決を期待してしまいました(池波先生亡き後はでは不可能ですが)。

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