岩井三四二の「鹿王丸翔ぶ」：blackpenguin's bar：SSブログ

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岩井三四二の「鹿王丸翔ぶ」　[読書] [編集]

岩井三四二の甲賀忍者シリーズ（そんなものあったけ？）です。「竹千代を盗め」で甲賀の伴家の忍者が活躍？しますが、今回は前作に比べ、時代が少しさかのぼり、足利義輝の時代のお話です。当時、甲賀地方を支配（厳密には支配ではありませんが）していた六角氏の依頼を受けて、京を警備している六角氏の侍を守る仕事に就きます。実は六角氏の侍が鉄砲で狙撃される事件が相次いだことからこうした依頼が舞い込んだのですが、この狙撃犯こそ、もと根来衆の鹿王丸。事情があって根来を離れていた鹿王丸は、謎の人物に狙撃を依頼されていたのです。伴家の当主である与七郎は、狙撃犯逮捕のため、家の子郎党引き連れて京に乗り込みます・・・・

「竹千代を盗め」同様、金で動く忍、同じ伴家であることから、この伴家が竹千代のときの先代にあたるのでしょうか？本書では太郎という嫡男が登場しますが、もう一度その辺のところを確かめたくなりました。名誉よりも算段するところから入る展開。忍者モノは総じて暗い話が多く、時には非情、陰惨な話が多いと思うのですが、この伴家の忍者、フツーの人とあまり変わらない。そんなところからほのぼのした雰囲気があります。竹千代のときと同様、ほとんど成果が上がらないところも、逆にほっとします。残念だったのは鹿王丸のキャラがいまひとつだったこと。もっとキャラが立っても良かったのではないかと。

いすれにせよ甲賀の伴一族。すっかりファンになってしまいました。