朝倉かすみの「田村はまだか」 [読書]
同窓会ってあまり出たことがありません。だから何かのきっかけで出ることになってしまった場合、楽しみである一方で、大変気が重かったりする。自分のことを覚えてもらっているだろうか?出席者の名前と顔が一致するだろうか?自慢できるネタも人生でもないのに、自分のことをあれこれ聞かれるのは嫌だなとか・・・いろんなことを考えながら出席する。出てみれば意外にそうした心配は杞憂に終わることもある。学校を卒業して以来、いろんな人生をみんなそれぞれ歩んできただけに、物事に関する価値観だとか、人生観は変っている。なにせ子どもの頃はそんなこと考えていなかったんだから。だから一番親しいと思っていた奴とは全然話が合わなかったり、そんなに話しことがない奴とは意外に話が合ったりする。
本書はそんな同窓生のお話です。タイトルの「田村はまだか」は、3次会の席に遅れて参加するはずの田村という同級生を待っている5人のかつての同窓生。田村を待つ間、それぞれの人生を思い返すという趣向で進む物語。「チャオ!」というスナックのマスターが進行役となっています。それぞれのエピソードに驚くほどの展開は無いような気がしましたが、結局、田村は来るのか、来ないのか?ってことで最後まで読んでしまいました。田村はいったい彼らにとっていったいなんだったのか?・・・そんな感想を持った次第です。
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