真保裕一の「栄光なき凱旋」 [読書]
ジロー・モリタ、ヘンリー・カワバタ、そして、マット・フジワラ・・・アメリカで生まれた日系2世たちの真珠湾攻撃から終戦までの約4年間の物語です。第2次世界大戦のヨーロッパ戦線において日系2世の部隊がアメリカ軍の一翼の担ったということは聞いたことがありましたが、太平洋戦線においても、日本語を話せる語学兵として日系兵士が前線に出ていたことはあまり知りませんでした(時々、映画などで観た記憶はありましたが)。
アメリカ国籍を持っていながら”ジャップ”として差別され、蔑まれ、職と財産を奪われ、さらには強制移住・・・そんな中でなぜ日系人は戦場に出ていたったのか?ジローとマットは太平洋へ、ヘンリーはヨーロッパへ。国のため、日系人のためだなんてきれいごとでは済まされない現実が彼らの前にたちはだかります。単行本上下巻、1,200ページの大作。青春群像劇といった趣でしたが、テーマが重くて、正直読むのに疲れました。最後に少しだけ救いはあるのですが、やや切ない終わり方。実はひとつの殺人事件が物語の背景にはあり、それが最後に一応の決着をみるのですが、主題は戦争に翻弄された日系人たちの物語といってよいでしょう。
真保裕一の作品は保釈された殺人犯を主人公にした「繋がれた明日」以来、5年ぶりに読みましたが、最近の彼の小説はテーマが重いものが多いようです。かつての小役人シリーズのような小気味よい作品も読んでみたい気がしております。
繋がれた明日もかなーり重かった記憶が。。。
面白そうなので、読んでみます!
by 税理士ももさん (2008-06-23 19:03)
可能であれば、ぶっ通しで、一気に!読むことをお薦めします、
by Ganchan (2008-06-24 12:16)