三浦しをんの「まほろ駅前狂騒曲」
文庫化を期待していたら随分読むのが遅くなってしまいました。多田と行天の関係性やいままでの登場人物等、読み始めはうる覚えだったのが、読み進むうちにだんだん明瞭、明解になり、すっかりはまってしまいました。
むーん、こういう本が好きなのだということを自覚しました。面白かった。
自分だけはまともな人、と多くの人は思いがちであり、それをベースに世の中をみると本書のような世界観にはまるのではないかと思うのですが、読者としては非常に心地よい。人に振り回されながら、日々、緊張感とともにメリハリのある日常を過ごせたらと思わせる。リア充を画にかいたような日常。ある種憧れます。
間引き運転を糾弾する老人たち、無農薬野菜を生産、販売する怪しげな団体、それを阻止しようとする街の有志(いずれも裏があり、一筋縄ではいかない人たち)が織りなす狂騒をバックグランドに行天の娘を預かるというメインストリーが違和感なくかみ合って物語として完成しています。
・・・とまあ理屈は抜きに面白いのでぜひ読んでみて!と薦めたくなる作品です。
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