門井慶喜の「新選組の料理人」 [読書]
新選組を描いた小説は数あれど、賄方=料理人の視点から新選組を描いたのは本書が初めてでしょう。菅沼鉢四郎という人生では負け組?の男が、賄方として新選組に入隊、近藤や土方、沖田といった主役の影で新選組の行く末を見守ることになります。
入隊のきっかけとなった原田左之助とのやりとりが中心となりますが、時代のうねりの中で悶々としていた当時の若者たちの受け皿的存在であった新選組にあって、公儀のためという大義名分のもとで活動することでアイデンティティを得たはずが、時代の要請にともなってそのよりどころをなくしてしまうというなんとも悲しいことに向かっていく・・・
いろいろな解釈はあると思いますが、新選組という時代の仇花をうまく描いている感じがします。ちょっと切なくなるお話です。
2019-01-21 12:28
nice!(16)
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