呉座勇一の「応仁の乱」 [読書]
新書としては大ベストセラーの本書。歴史好きを自認する私としてはいち早く読みたかった本ですが、ようやく手に取り読了いたしました。
応仁の乱ほどわかりにくいものはないとはよくいわれることですが、本書を読むとその背景なり経緯がなんとなくわかってきました。もっとも電球がともるように「アハ」的にわかったわけではなく、モヤモヤしながらもぼんやりとわかった感じ。再読が必要と強く思ったわけであります。
なにせ登場人物の馴染みの無さが理解に苦しむ原因。聞いたことが無い人物(読みが分からないも含め)をウィキペディアを参照しながら・・・手っ取り早い方法ながら知識のなさに苦しみつつなかなか流れに沿って読み進めることができない。
なんとなく理解できたのは、この争乱は室町の時代におけるある権威やそれに伴う価値の範囲の中での揉め事であったこと。東西両軍が相手を徹底的に滅ぼすという段階に至らないことが多く、刀槍を掲げて戦っているものの寸止めの状態でもみ合っていたということ。貴族、宗教(寺院)、管領・四職および守護大名といった階級間の権力闘争の極みであり、その秩序を破壊するまでにいたっていない。これが10年も続けばその階級は疲弊し、徐々に力を失い他のクラスの台頭を許すことになる・・・もっとも呉座先生の視点によれば階級闘争的歴史観で応仁の乱をみてはいけないということらしいのですが、一読した感ではそんな感じがしたわけです。
登場人物たちおよびその子孫の多くが戦国時代に突入すると力をなくし、彼らがもっていた権威も価値も否定される状況は、まさに時代の転換期だったという意味で興味深い。
読了するまでちょっと疲れたので、しばらく置いてから(他の関連作品や文献も読みつつ)再読してみたいと思っています。
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