誉田哲也の「プラージュ [読書]
昨今の世の中、一度過ちを犯した人間の表舞台への復帰は難しい。もっとも昔からそうだったのかもしれないが、最近は頼みもしないのに過去のことを穿り返す輩がいる。当事者やその関係者ならまだしも、全く無関係の人が騒ぎたてる。犯罪は確かに反社会的な行為であることは疑うべくもないが、不特定多数の人たちに総スカンを食らう風潮は昔とはくらべものにならない。
「プラージュ」とはフランス語で海辺のこと。過去の何らかの過ちを犯した人たちが集うシェアハウスの名称だ。物語は登場人物である彼らの過去を振り返りつつも決して悲壮感を漂わせることなく、今を生きている人たちの姿を描いている。なぜ「プラージュ」という名前なのかは読み進めていくうちに明らかになる。
小説としての仕掛けがあってここでそれを書くのはネタバレになるのでやめておくが、既にドラマ化もされているので、ご覧になった方もいるかもしれない(→https://www.wowow.co.jp/dramaw/plage/)。
最後はハッピーエンドといってもよいが、なかなかに考えさせられる本。何がきっかけで犯罪者になるかわからない。ここ「プラージュ」の住人にならないとは限らないという不安もいだかせる作品。
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