伊坂幸太郎の「AX アックス」 [読書]
グラスホッパー (角川文庫) 、 マリアビートル (角川文庫) に続く殺し屋シリーズ。前の2作に共通しているのが、最強の殺し屋といわれる連中が常人離れしているということ。もっと砕いていえば、少々おバカさんだったり、常識はずれだったりする(そういう風に描かれている)。本作の「兜」はそんな殺し屋連中の中ではきわめて常識人であり、恐妻家である。一見するとどこにでもいそうな家族の一員であり、もし何かのきっかけでその家の主人は殺し屋だったことがばれた場合、「とても信じられない」「あんな人のよさそうなご主人が・・・」「人は見かけによらないものですね」なんていわれるキャラクターだ。
冷酷非情の裏の顔・・・本書は主人公の妻と息子との日常を描くことで、主人公「兜」の性格付けを仕上げ、読者である我々との距離を縮め、共感を得ることで作品に引き付ける。家族との絆がテーマ?と思わせるのは「兜」がビルから飛び降りる際に浮かんだ映像・・・
伊坂先生独特の軽妙でリズム感のある文章は読みやすいし、彼が生み出すキャラクターの魅力的。こんな世界観の作品、今後も続けて欲しいと思った次第。
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