宮部みゆきの「三鬼 三島屋変調百物語四之続」
最近どうもいけません。例年よりも早く暖かくなって気分が浮かれたのか、本を継続して読むという気力が減退、年度末の仕事の忙しさにもかまけてしまったのか、前回のアップから早1ヵ月が経ってしまいました。
この間、宮部さんの著作、いずれも長編にチャレンジしておりましたが、途中で断念(やめたわけではないのですが、物語の展開にやや疲れてしまって・・・作品のせいではなく、私の忍耐力の問題が主ではありますが・・・)。読後アップの原則に照らしてみれば掲載することもかなわず、という次第です。
さて、本書はそんな状態の中でなんとか読み切った作品です。本シリーズ三巻までは読んでいましたが、正直、設定以外のお話は忘却の彼方に近い感じ。なんとなく記憶には残っているものの・・・とはいえ、この作品の世界観は好きです。本書エピソードの最後で、富次郎という従兄と勘一という本屋が新たに加わったことで次の作品への展開が期待できるのはファンにとってありがたいことです。
それにしても本書のエピソード(変わり百物語)は怪奇怪談の類になるのでしょうが、テーマは一貫して人の業なのでないかと思います。亡くなった家族や子どもに会いたいと思う念、自らが生きる残るために自らの悪行を正当化する念、猜疑心、嫉妬心にもとづく念と、他人事ではない自分の深層にある念が具現化した話だけに、なんとも胸が苦しいもやもやした気分になります。唯一、2本目の作品(はらぺこ神様に憑かれたお話)はほのぼのしました。おちかという美人(可愛い?)お嬢さんとその取り巻きの登場人物のリアリティがそうした気分をほぐしてくれる構成。早くも次回作が楽しみです。
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