SSブログ

岩井三四二の「家康の遠き道」 [読書]


家康の遠き道

家康の遠き道

  • 作者: 岩井 三四二
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/05/17
  • メディア: 単行本
関ヶ原の合戦の後、幕府を開き、秀忠に将軍職を譲った後、大坂の陣に至るまでの家康の最晩年を描いた作品です。1607年から1616年のおよそ9年間の物語。
実質的に天下人となったにもかかわらず、目の上のたんこぶである豊臣家は残り、幕府自体も不安定な状況下にあって、「守成」=徳川家の権力の維持、発展、幕府の体制を守るために奔走する家康の姿を生き生きと描いた作品です。
この時期、イスパニアやポルトガルに加え、大航海時代の末期にあって、新興国であるオランダやイギリスが日本に頻繁に訪れていたこと。鎖国以前の日本において海外へ門戸が開かれていたことで、「世界の中の日本」という視点からの歴史の一端が窺える内容となっています。現在でいえば内閣総理大臣的存在である(大御所だから前職となりますか)家康は外交問題にも直面していたわけで、幕末の日本人よりもよほどグローバルな視点で臨んでいたのではないかと想像されます。このまま鎖国という政策をとらなければ、日本の歴史も相当変わっていたのではないかと思います。
いずれにせよ、関ヶ原から大坂の陣まで一気に時代が動いた感がありますが、この両合戦の間に密度の濃い時間帯が存在したことは、なかなか興味深い。天下分け目というけれど、世界史からみれば所詮は内戦。世界というダイナミズムの前では小さい話だったことも改めて気づかされます。ちょっと角度を変えてみると歴史も相当面白い、奥が深いと思わされた作品です。

nice!(12)  コメント(0) 

nice! 12

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。