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池井戸潤の「陸王」 [読書]


陸王

陸王

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/07/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

池井戸節全開の本作、楽しませていただきました!

今回の舞台は創業百年の伝統を持つ足袋製造業。目の付け所がなかなかですな。「下町ロケット」や「空飛ぶタイヤ」もいわゆる中小企業ですが、大企業に対する中小企業であって、モノづくりの会社としては規模も大きいと感じていました(正真正銘の中小零細しか経験の私にとっては・・・という意味ですが)。

小説としての組み立ての観点からみれば、下請け、孫請けという構図としての面白さはありましたが、本当の意味での会社の体力とかを考えると、ある種“贅沢”な闘いともいえなくはなかった。むろん人間ドラマとしての面白さが本質なので、作品自体を否定するつもりは全くありません。

さて、本作ですが、そういう意味では年商1億円にも満たない会社が新規事業に向かって突き進むというドラマに加え、駅伝、マラソンという要素を組み入れながらの展開は、ある意味面白くないはずはない!という作品です。

今回の場合、世界的にも大手であるスポーツ用品メーカーが主な敵役となりますが、今までの作品と比べると非常にわかりやすい相手であり、少々、露骨すぎるきらいがあったのが鼻についたかな。

むしろ、味方の側にいながら主人公の会社を支援できない・・・という角度の方が、物語としての現実味をより高めたような気もします。

いずれにせよ、さまざまな人たちが事業立ち上げに奔走する中で身につまされる部分もあり(一度会社をつぶしたものは会社をつぶす癖がつく、というくだりは痛っかった)、物語は究極の理想の展開ではありながら、リアリティのある話に引き込まれた次第です。

ラストはハッピーエンド。地元金融機関との最後のやりとりは痛快でした(私も一度ああいうことを銀行さんに言ってみたいものだと思いました)。これもテレビ化されるのでしょうかね。それはそれで楽しみです。



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