五十嵐貴久の「炎の塔」 [読書]
作者本人も書いている通り、本書はパニック映画の草分け(人によっては金字塔?)ともいえる「タワーリング・インフェルノ」のオマージュです。
東京に出現した100階建て超高層ビルが火災に見舞われ多くの人が取り残さる中、一人の女性消防士が救命、消化に大活躍するというストーリーです。
こうして書いてしまうと何か中身のない薄っぺらな小説に思えてきますが決してそんなことはありません。消防士はもとより自衛隊を始め多くの登場人物たちが活躍し、高層ビルに取り残された人々にもそれなりのドラマがあり、うるっとくる部分もあります。
見栄っ張りのオーナーとその取り巻き、手抜き工事・・・こうした物語に必要不可欠な要素はきちんとそろっている・・・それなりに面白かったのですが、ストーリー展開が読めるという点でのサプライズはありません。エンディングも予想通り。まあ安心して読める本ではありました。文庫本で出勤前の電車の中、出張での時間つぶし・・・何事にもあきらめない気持ちを持って仕事に対するモチベーションをあげるにはちょうど良い本かもしれません。
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