真保裕一の「ダブルフォールト」 [読書]
新人弁護士の話です。ちょうど本書を読んでいる時、明治大学法科大学院教授の司法試験漏えい問題がおき、本書の内容とは直接関係がないにも関わらず、なんとなくタイムリーだなぁなんて思ってました。
司法試験制度の改革が進み、合格率も3~5%の時代から20%台にまでなったといいますが、依然として難関試験であることに変わりはないようですね。本書の主人公はそんな難関な試験を突破した悲壮感もなく、ただ何となく試験を受けて気が付いたら合格していたという究めて優秀な人物。本書の中ではごく普通の若者(人生経験も業務経験も未熟な)として描かれていますが、実社会においてはエリートの部類に入るのでしょう。
イソ弁のつらさなど傍からみる弁護士のイメージと実態はかなり違うようですが、そうした周辺の描写がありながら、なんとなく本書の主人公に感情移入ができなかったというのが本書を読み終わった感想。弁護すべき被告人、被害者の家族、先輩弁護士・・・いずれの登場人物ともリンクできなかった。ある種、さわやかな青春小説のジャンルに入るのかもしれませんが、とっくに青春を過ぎた読者にとっては感慨もない。先輩諸氏の説教も響かない。なんとなく消化不良という感じの一冊でした(この文章も消化不良気味。分かりにくくてごめんなさい)。
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