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富樫倫太郎の「北条早雲ー悪人覚醒編」 [読書]

北条早雲 - 悪人覚醒篇

北条早雲 - 悪人覚醒篇

  • 作者: 富樫 倫太郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/12/19
  • メディア: 単行本
富樫さんの北条早雲シリーズ、まだ終わらないようだ、というのが最初の印象。北条早雲 - 青雲飛翔篇で相当引っ張ったせいもあって、これは大河小説的展開か?と思わせましたが、本書を読んでその疑問は確信へと変わりました。山岡荘八さん著「伊達正宗」はソフトカバーで5~6巻だったと思いますが、本書のペースを考えるとそのぐらいいきそうな雰囲気です。
さて、本書は戦国大名として北条早雲が初めて歴史の表舞台にたった「伊豆討ち入り」までのお話となっています。堀越公方という室町時代における権威を、たった十二郷の領地したもたない領主が討ったということで、これ以降、全国各地で起こる下剋上の先駆けとしてこの伊豆討ち入りは戦国時代の幕開け、歴史のターニングポイントとして認識されているようですが、本書を読む限りにおいて(富樫先生の解釈によれば)、日野富子や細川正元らの幕府権力者、甥であり今川家当主である今川氏親の支援を受ける形で行われたもの。将軍後継者問題に端を発する権力闘争の一環として行われた軍事行動であることがわかります。そういう意味で下剋上、戦国大名化という意味とは若干意味が異なるのではないかと思いますが、討ち入りの実行者として表舞台に出たことで、それまでの価値観とは異なる行為、存在になったという意味で大きな出来事だったのだろうと思います。権威や価値観を壊す”悪人”になることで民百姓を救うことになると思った早雲。次回作、続きが楽しみです。  

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