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船戸与一の「新・雨月~戊辰戦役朧夜話」 [読書]

新・雨月上 戊辰戦役朧夜話

新・雨月上 戊辰戦役朧夜話

  • 作者: 船戸 与一
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2010/02/18
  • メディア: 単行本
    新・雨月下 戊辰戦役朧夜話

    新・雨月下 戊辰戦役朧夜話

    • 作者: 船戸 与一
    • 出版社/メーカー: 徳間書店
    • 発売日: 2010/02/18
    • メディア: 単行本
遅ればせながらお悔やみです。船戸与一さんが4月22日に胸腺がんのため亡くなりました。71歳でした。
船戸作品は一時期夢中になって読んだ記憶があります。山猫の夏 (小学館文庫)猛き箱舟〈上〉 (集英社文庫)

砂のクロニクル〈上〉 (新潮文庫) 、伝説なき地 【新装版】 (講談社文庫)蝦夷地別件〈上〉 (小学館文庫) など、紛争地や時代の変革期を舞台に、混乱の中で必死になってもがき苦しむ人々を活写していました。
生々しく時にはドギツイ表現もありましたが、登場人物たちの生への執着、倫理観や死生観を超えた振る舞いなど、ある意味衝撃的な内容であり、読んでいて腹の底が重苦しい感じなったものです。
船戸作品の魅力は登場人物の多くに感情移入できること。正義とか悪とか単純に色分けできないところが魅力です。われわれの価値観は良かれ悪しかれ安定的な社会を維持するためのレールに乗っていることによって成り立っていると思いますが、船戸作品の多くが不安定極まりない状況にある舞台であるがゆえに、それぞれの置かれた立場がすなわち善であり、正義ということになるのでしょう。
冒険小説、ハードボイルド、スパイ小説等々、さまざまな要素を満載した作品は極上のエンタテインメントであり、読む者のアドレナリンを掻き立てます。
本作は日本の幕末、戊辰戦争が舞台。薩長を中心とした西軍と奥羽越列藩同盟軍との争いを“現場視点”で描いたもの。今となっては船戸さん晩年の作品ではありますが、実に面白い。ちょうど読み始めた時に訃報、ショックを受けました。 




謹んでご冥福をお祈りいたします。 

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