上田秀人の「鳳雛の夢」 [読書]
伊達正宗の一代記です。戦国武将人気ランキングでは常に上位にランクされる人ですね。大河ドラマ「独眼竜正宗」の視聴率は歴代トップ、いまだに破られていない。正宗の甲冑姿はスターウォーズのダースベーダーのモチーフになったとも言われているとか。ようはカッコいい武将なわけです。
正宗の一代記では、山岡荘八の「伊達政宗 (1) 朝明けの巻 (山岡荘八歴史文庫 51)」、横山光輝のマンガ「伊達政宗(1) (講談社漫画文庫)」を読んだものですが、今回は久しぶりの”新作”として新たな気持ちで読ませていただきました。
とはいってもストーリーとしての新しさはなく、新たな発見があったわけではないのですが、彼が天下の夢破れ、奥州独立を目指していたという点は、正宗のパフォーマンスを裏付けるモチベーションとして描かれている点で今までの正宗像とは少し違っていました。
東北のその根っこがあり、江戸時代は仙台藩領にある私としては正宗は稀代の英雄なわけですが、遣欧使を派遣するなど戦国武将という戦の専門家の枠を超えた発想を持っていた人だけに(ひいき目ではありますが)、奥州独立を実現した後のの東北の歴史、ひいては日本の歴史がどう変わったかという点で、夢半ばに終わったのは残念としかいいようがありません。 そういう意味では、阿弖流為、奥州藤原三代など奥州、東北の英雄、歴史の末路に似通った形で収束しているというのは地政学的な意味でもやむ得ないのかもしれません。
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