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池井戸潤の「ようこそ、わが家へ」 [読書]

ようこそ、わが家へ (小学館文庫)

ようこそ、わが家へ (小学館文庫)

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/07/05
  • メディア: 文庫
昨日に続いてのUP、久しぶりです。
さて、本日ご紹介するのは池井戸潤先生の「ようこそ、わが家へ」。テレビ化が相次ぎ社会現象にまでなった池井戸先生の作品は、サラリーマンや中小零細企業の事業主を主人公に据えることで、力あるものの理不尽さを糾弾し、そして最後には勝利を得るという構成で、多くの人を支持を得たと思います。半沢直樹 -ディレクターズカット版- DVD-BOXに対する評価の中には、「現在の水戸黄門のようだ」という意見もあったほど。確かにその側面は否めないかもしれませんが、小説中のやりとりには、読んでいて腹の立つシーンも多く、こうした輩が最後にギャフンと言わせるくだりはとても気持ちのよいものです。
もっとも池井戸作品の多くは、舞台設定がなせる技のせいか男性中心の世界。主人公以外の家族が物語の主題に絡んでくるのは少ないのではないでしょうか。空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)などでは家族の問題が物語の本筋とリンクしていたケースもありますが、全体としてみれば少ないと感じます。
本書はそんな池井戸作品の中で家族が主役の作品です。銀行、中小企業という舞台設定はいつものことで、その辺の物語は十分に楽しませてくれますが、主人公の家族が得体のしれない“名無しさん”からの理不尽な嫌がらせを受けるという話が並行して描かれています。
会社でも闘い、家に帰っても戦う・・・家族全員が何とも良い関係にあって、いまどきの家族とは思えない雰囲気なのは少し気になりますが、この家族関係の描写が緊迫した全体の流れの中にあって安心感というか安らぎの部分でもあります。
ピリピリして、金融用語満載の作品ではありません。ちょっと変わった池井戸作品としてお薦めです。 


 


 
 
 

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