中山七里の「おやすみラフマニノフ」 [読書]
さよならドビュッシー (宝島社文庫)に続くクラシック・ミステリー?の第2弾です。岬洋介シリーズの第2弾と言い直した方がよいでしょうか?物語のタイムテーブルは前作とダブっているところがあって、こうしたシリーズものを読み進める読者にとってはうれしい仕掛けがあり、さほどクラシック好きでなくてもクラシック音楽及びクラシックに携わっている人たちの世界が素直に感じることができるのは、中山さんの筆力のおかげでしょうか。
前作は大きなどんでん返しがあって、結構インパクトがありましたが、今回は前作ほどのインパクトはないものの、ミステリー、謎解きといった主題とは別に、「ボク」という主人公の音楽に対するスタンス、生き方に焦点を当てている点で、“事件”の成り行きとは別の面での面白さをみせてくれたように思います。
それにしても岬洋介という人は天才です。謎解きのプロセスはほとんど読者にはわからず、最後に「こうだ」、「ああだ」というところはホームズ系統の“名探偵”ですが、ホームズのように性格が悪いわけではなく、好感が持てるキャラクター。このシリーズ、第3弾、いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)が出ていますが、今後、どこまで続くシリーズとなるか楽しみであります。
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