誉田哲也の「吉原暗黒譚」 [読書]
あの姫川シリーズに代表される警察小説の旗手と目される誉田哲也さんの初期の作品です。彼が伝奇モノを手掛けていた当時の力作です。江戸の吉原の舞台にした時代小説。事件モノという点で彼の現在の作風に通じるものがありますが、今ではほとんど記述のないエロチックな場面等、同じく初期の作品である「妖(あやかし)の華 (文春文庫)」の雰囲気に良く似ています。
吉原の風習等、よく調べられているようで、時代小説のファンとしては新たに勉強になった次第。主人公の崩れ具合と周辺に登場する人たちの頽廃的なキャラの設定は、今の誉田さんの作風とは一線を画しているような気がします。もっとこうした作品を出して欲しいのに・・・と思ったのですが、いかがでしょうかね。
大人の作品です。今後、こうしたシリーズの復活を切に望むものであります。
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