朱川湊人の「かたみ歌」 [読書]
この本の前に「遠野物語remix」を読んでいました。書かれている時代背景は異なるものの、テーマは一緒だと思いました。遠野物語は自然や先祖に対する畏敬というか、人知を超えたものに対する恐れがあったような気がしますが、本書はそのテーマを背景に持ちつつ、人の思いをある種の超常現象という形で発露させたものではないかと・・・と自分で書いていて訳が分からない感じになってきましたが、読んでいて鳥肌の立ち方が一緒でした。
本書の時代は昭和40年代でしょうか。私が小学生くらいの時です。 舞台は東京のとある商店街。私は田舎の商店街の雰囲気しか知りませんが、当時は田舎にも人がいて商店街の賑わいというのはなんとなく分かります。そのイメージの中、ふと佇んでいた人、街中を走り回る子どもなど、中にはこの世の存在ではなかったという人を目撃しているかもしれないという自身では認識できない体験があったかもしれません。
考えてみれば今は昔に比べて街の雰囲気もドライになったというか、空々しい感じになってきたという印象があります。
本書はウェットな時代の不思議物語です。
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