堂場瞬一の「検証捜査」 [読書]
警察小説としての面白さが煮詰まった一冊です。杜撰な操作が指摘され、起訴した容疑者が無罪になったことをきっかけに、警察庁が検証チームを立ち上げるというお話。検証の対象は神奈川県警。検証には第三者的な立場の人間が当たることが必要との判断から、全国の警察から4人の刑事が集められた。いずれも各本部からの推薦とはいえ、脛に傷持ついわくつきの刑事たち。設定としては、読んでいる限りさほど違和感はないのですが、考えてみれば警察の捜査に対し、第三者が検証したり監査するという組織はありません。公安委員会などがそれに当たるのか?監察部門も内部組織であることから、警察に都合の悪いことは隠蔽されてしまう?「隠蔽捜査 (新潮文庫)」じゃないけど、内部からの自浄効果が発揮されない限り、不祥事は表に出てこないのでしょう。そういう意味でいうと、本書は第三者的検証チームを作ったという時点で、ある程度の面白さを約束されたということかもしれません。感動の一冊とはいきませんが、面白さは堪能できる一冊です。
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