六道慧の「奥方様は仕事人」 [読書]
仕事人といえば中村主水ですなぁ。もとを正せば池波正太郎の「新装版・殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一) (講談社文庫)
」などの仕掛け人シリーズです。藤枝梅安・・・緒方拳さんですなぁ。スピンアウトが続いて今では東山紀之が演じる仕事人が平成版のシリーズを構成しています。
本書もそういう意味ではスピンアウトの類だとは思いますが、いわゆる江戸時代ものの雰囲気をかもしつつ物語は展開します。
主人公は凶賊によって両親を殺され、その仇を討つために仕事人になった瑠以という女性。三姉妹の次女で八丁堀同心の妻です。やっとう小町と称せられるほどの剣技の持ち主ではありますが、嫁ぎ先である姑と出戻りの義姉にいびられているという中村主水以来の伝統を受け継いでおります。
本書はシリーズ第1作目ですが、仕事は1度だけしかしたことがなく、本書の最後に手掛けようとする仕事が2度目という仕事人としては素人同然という設定です。
世に巣食う悪というのはある種パターン化されたもの。仕事の対象となる悪の存在がなかなか見えてこなかったという流れは小説としては面白かったのですが、さて、今後のシリーズがどんな展開で進むか楽しみです。決まりきったパターン、マンネリの素材だけに、六道さん、腕のみせどころでしょう。
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