鳥羽亮の「波之助推理日記」 [読書]
帰省するんで新幹線の中で気軽に読める文庫はないかな~と思って手に取った本。最近、時代小説は勢いがあってヒットメーカーの佐伯泰英さんを始め多くの作品が文庫化されています。これら時代小説の文庫本のよいのは、最近、特にそうですが、なんといっても字が大きい。はっきいってすかすかの観が否めないのですが、読めないよりはいい。老眼気味の私にとっては本当にありがたい、と思いつつ物色して選んだのが本書というわけです(もっとも本書の場合、あまり文字は大きくなかったのですが・・・)
鳥羽さんの作品は初体験。江戸川乱歩賞受賞作家というのを略歴で知ってびっくり。てっきり時代小説専門の方かと思ってました。解説を読んで分かったことですが、鳥羽さんの作品にはシリーズもの(直心影流 毬谷直次郎 シリーズ、青江鬼丸夢想剣シリーズ、深川群狼伝シリーズなど)が多く、本書「波之助推理日記」もその一つ。他のシリーズが藤沢周平の秘剣シリーズを彷彿とさせるような剣豪もの(読んだことがないのでタイトルからのイメージで書いてますが)なのに対し、波之助シリーズはいわゆる江戸時代を舞台にした推理劇となっており、乱歩賞作家としての面目躍如といったところでしょうか。
主人公早川波之助は、旗本の三男坊の冷や飯食いで兄は幕府お目付け・・・なんか「御宿かわせみ」的な設定ですが、密室ものもあったりして、江戸の小気味よい捕物劇の要素も満載。そんなに複雑なストーリーではありませんが、文章にリズムがあって意外に面白かったです。ちょっと他の作品も読んでみようかな、と思った次第です。
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