日明恩の「ロード&ゴー」 [読書]
警察、消防モノが得意な日明さんのシリーズ。今回は救急隊の物語です。救急隊、救命救急士が主役になった作品というのは意外に少なく、医療モノの作品でも急患を病院に搬送し、主役およびその取り巻きに引き渡すだけの脇役的存在。役割はなんとなくわかっていても、彼らの苦労や彼らの仕事に対するジレンマなどは世間にはあまり知られていないのではないかと思います。受け入れ先の病院が見つからず、患者がたらい回しにされて死に至ったというニュースはよく聞かれますが、搬送中に救急隊員が救急車の中で何をやっているのか?彼らは何を考えているのか?本書はそうした知られざる救急隊の一部を垣間見ることができる作品です。
「ロード&ゴー」とは緊急性のある患者を搬送するときに発せられる救急隊のコード。物語は救急車がジャックされるというお話ですが、設定としては面白いのですが、ややテンポにかけるかも。後半はカーアクションさながら、赤い消防車軍団が都内を駆け巡るという映像でみたらさぞ迫力のありそうな展開になりますが、日明さんの他の作品に比べると、やや登場人物の心理描写が浅い感じがしました。ただこうした専門職の話はなかなか面白い。消防隊を扱った鎮火報シリーズ同様、続編を期待させる作品ではあります。
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